第二話 「本当の課題を知りたい」
オリジナルコラム
2020/09/01
部署はクライアントコンサルティング部、肩書はコンサルタントで。。。
少し前までは名刺管理アプリで管理していたが、ZOOM面談では名刺交換ができない。
面談時にヒアリングして、その後手入力だ。四半期のアワード受賞・・・・。
ゆっくりと、保存ボタンを押し、田村はそっと入力画面を閉じた。
一息つくような気持ちで、キャリアコンサルタントとして登録しているサイトを開く。
すると、掲示板に新しいメッセージが投稿されていた。
「初めて書き込みをします。
同僚への対応についての相談です。
私は医薬品メーカーでドラッグストア向け営業のチームリーダーをしています。
業務内容は担当するドラッグストアの本部にプロモーション企画を提案、採用後は実際に店舗に立ち、サンプルなどを配り販売促進をしていくものです。
しばらく対面業務は自粛していましたが、緊急事態宣言解除に伴い、通常の業務に戻しているところです。
しかし、同僚はお子さんの学校がまだ再開していないことを理由に、店頭での販売促進活動に加わることに難色を示します。
事情はわかりますが、学校再開はいつになるか分かりませんし、業績は早く上げていかないといけません。
パワハラにならずに同僚を従前の業務に戻すには、どのようにしたらよいでしょうか?よろしくお願いします。」
礼儀正しい文面と、業績へのコミット。
責任感ある人物に違いない。
それにしても、本来上司に相談すべき問題を、なぜここに投稿したのか?
きっと問題は別のところにあるはずだ。
田村は、投稿された書き込みからそのように推測した。
まずは、話をきいてみたいと考えた。
「チームリーダーとのことですので、優先的地位に該当すると考えられます。
おっしゃるようにパワハラへの配慮が必要です。
パワハラは次の3つの条件を満たした場合に認定されます・・・・」
と書き始め、部署の目的や課題に関連づける範囲での依頼を、1対1で直接伝えるようアドバイスした。
最後によかったら連絡してほしいと明記、回答を登録した。
システム上、大変スムーズなやり取りであったが、田村は何かが胸につかえていた。
表面的なHOW TOのみの回答しかできなかったが、本当に解決すべき課題は何だろうか。
祈るような気持ちで、先方からの連絡を待つことになった。
田村の心配は杞憂に終わった。
翌日、掲示板の投稿者からのメールを受信していた。
送信者は、大手製薬会社勤務 山口美恵とあった。
そしてもう一通。
昨日ZOOMで面談をした西条が、宿題にしていたレジュメを添付してメールを送ってきていた。
(続く)
ストーリー:かみきち
イラスト:みむら
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